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日本人留学生の心得(7)

リ・リンという、マレーシア育ちの中国人の女の子も大学入学をありえない状況で阻まれていた。

彼女は私より前にCUNYセンターに願書を出していたが、待てど暮らせど受理の手紙が帰ってこないので、私と一緒にdirectory applyに切り替えようとしていた。

ところが、彼女は、“転入”(彼女の国での学歴を移行する。)で、私は“新入”扱い。ここに来て、アドバイザーはリ・リンに、自国での学歴の卒業証書と、成績表の英訳、しかも未開封の封筒に入ったオリジナルがないと願書は受理されない事を伝える。

彼女はそれを知らなかった。だから、ずっと前に送った願書には、これ等を添付していなかった、何故なら願書提出時に伝えられなかったからだ。

そしてアドバイザーは、転入生は今回のdirectory apply では募集されていないと彼女に伝えた。

願書受付締め切りは2日後に迫っており、マレーシアからのコピーやemail添付のプリントアウトではない、オリジナルの英訳の書類を入手するには今からでは遅すぎる。願書自体はずっと前に提出しているが、“書類不足”という理由で受理されず、その事を連絡もされず、書類不足の為、CUNYセンターからの願書受理の返信が無かったのだろうとの事であった。

今回の入学を逃すと、彼女は来年の春まで大学入学を待たなくてはいけない。それまでの期間は学生ビサを保持する為に語学学校に居なくてはいけないのだが、そのコストは大学で勉強するのとほぼ同じ。どうせ同じ時間、金額の出費なら大学で勉強したほうが良いに決まっている。

彼女の落ち込みようは本当に気の毒であった。しかも、彼女の否ではない。CUNYセンター側の新入生への説明不足、不行き届きのせいである。

数日前、リ・リンに語学学校ビルディング内(大学付属なので同じビルディング内の教室で勉強している。)で偶然合った。てっきり語学学校で勉強していると思っていたのだが、彼女は今、大学生だと言う。突然CUNYセンターから連絡が来て、入学できたそうだ。

入学手続きの締め切りすら終わっていた時期に唐突に手紙が来て、本来はdirectory applyで募集されていない筈の転入生であるにも関わらず、directory applyで、しかも手続きの締め切りすら過ぎていたのに、手続き出来て、入学したそうだ。

彼女の推測では、今学期への大学入学の応募が少なかった為に急遽増員されたのではないかと言う。しかしながら、真相は不明だ。ただ今後、同じ状況で入学を阻まれる学生は後を絶たない事、そしてその謎がとかれる事は無いという事は断言出来る。

私は大学入学願書を提出するのに1ヶ月近くもの時間を費やした。インフォメーションカウンターに出向く度に、無能な係員は私にパンフレットを渡しながら、“Good Luck!” と言った。

「The Catcher in the Rye」 の主人公、ホールデンは“Good Luck!”と言われる事が嫌いだと言う。このくだりを読んだ当初は、ただ反抗期の子供の台詞だと思っていたが、今回、実際に言われてみてホールデンの気持ちが痛いほど分かった。私は彼より10歳以上も年上だと言うのに。

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